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2012年1月10日
年頭に思うこと

2003年 2月12日
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エネルギー/原子力/環境分野の調査分析と
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トランシス 

2012年年頭に思うこと

 新年あけましておめでとうございます。
 本年もより一層のご愛顧、よろしくお願い申し上げます。
 今年は辰年。昇り龍と捉え、過去の経験から景気が上向くことを期待する向きが多いようですが、我が第2の故郷、「松戸」の江戸川土手から初日の出は拝めず、その期待は、ユーロ下落と株価低迷で薄れ早や薄れつつあります。
 富士をかすめ落ちる夕日はいつになく綺麗でした。大河ドラマは「平清盛」、盛者必衰のことわり。再度、政権交代と「日が出る」ことを切に願います。

 原子力を取り巻く動きについて苦言とそれを踏まえた提言を述べることにします。
 10ヶ月前に東日本を震撼した大地震の副次事象である津波が招いた4基の原子炉の壊滅的破損と広範な地域の放射能汚染により日本の原子力政策は、コペルニクス的転換と、緩やかな転換との選択肢で大きく揺れている。そのような中、原子力関係者、特に安全分野で権威者と崇められてきた専門家達は、想定外としていたことが起き、最大級の事故を招いたことで、自信と誇りを完全に喪失し、政府に対して適切でかつ科学的に合理性な助言や勧告を行えなくなっているようである。
 たとえば、正月明け、政府が原子力発電所の運転寿命を40年にする法改正を行う計画であることを、全国紙は一面で大きく報道した。米国の運転認可の有効期限は原子力法によって最長40年と定められているが、その一方で、認可の更新を認めている。なお、法定寿命を定めているのは原子力先進国の中で米国のみである。
 わが国の場合、年1回の定期検査を義務付け、定期検査の結果に基づいて最大13ヶ月の運転を許可する方式を取ってきた。更に、10年毎の定期安全レビューと30年以上の運転を行う前の、経年劣化に重点を置いた定期安全レビューを義務付けることによって福島第一事故前まで世界的なトレンドであった60年までの運転を可能とする制度を確立し、実施してきた。この仕組みが福島第一事故を起こした一因でないことは、明白であり、運転寿命を原則40年に制限する案が、新聞では、原子炉の劣化が起こる時期の目安を「40年」とする意見が専門家の間で多いことと、米国が原発運転の認可条件を40年にしていることを踏まえ、出されたと言及しているが、唐突なこのような法改正は笑止千万であろう。
 今国民が求めていることは、このような瑣末な法改正といったことではなく、原子力発電から撤退するのか、あるいは継続するのかで、後者の場合に求めていることは、どのようにして天災に耐える原子力発電技術、安全管理手段、炉心溶融事故回避措置、および万一の場合の緊急時対応策と事故影響緩和策を確立するかである。
 今後のわが国の原子力政策がどのようなものになろうとも、明白なことは、わが国が一気に本格的な廃止措置時代に突入したことである。福島第一発電所の4基の原子炉、既に閉鎖され廃止措置段階にある4基の原子炉(東海、浜岡1・2、ふげん)、そして現時点で運転期間が40年を超えている美浜1、敦賀1の2基、計10基の廃止措置を行わなければならない。福島第一の原子炉の場合、戦時の廃止措置であり、運転を安全に停止した原子炉が対象である平時の廃止措置とは、その安全性、プロセス、手続および技術が著しく異なる。戦時の廃止措置を終了した原子炉は世界で皆無であり、約32年前に部分炉心溶融を起こしたスリーマイルアイランド(TMI)2号機は現在、燃料取出し御監視付き貯蔵状態に置かれており、平時の廃止措置に入るのは1号機の運転が終了する20年以上先である。約25年前に炉心溶融事故を起こしたチェルノブイル4号機は未だ、溶融炉心が発電所内部に残っており戦時状態である。約55年前の1957年に炉心黒鉛で火災事故が起きた英国のウインズケールパイル1もまたしかりである。
 そのような現状の中、わが国は戦時と平時の廃止措置を並行して進めていかざるを得ず、多くの技術的課題に遭遇すると予想される。「災難を転じて福となす」や「塞翁が馬」ではないが、この災難を好期と捉え、オールジャパンで最先端の廃止措置、ロボット、遠隔操作、放射線測定、放射線防護技術を開発し実用化することによってバックエンド分野で世界の先頭に立つことを目標とするべきである。
 日本に商業炉は55基あり、これらは最終的に廃止措置する必要がある。ビジネス規模は1基約600億円(平時の廃止措置)として、現在価値で総額3兆3,000億円である。運転寿命が40年となった場合、10年以内に15基の原子炉が退役し廃止措置することになる。まさにビジネスチャンスである。
 うろたえるな日本、縮こまるな原子力産業

平成24年1月10日
取締役 澤田承三


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最終更新日 : 2012/01/11